どうも、動画人ターナー(@tana51)です。
あなたは、一眼レフ/ミラーレスカメラのレンズの前にフィルターをつけたことがありますか?
フィルターと言えば、保護フィルター(プロテクトフィルター)、PLフィルター、NDフィルター、など、いろいろありますが、今回はNDフィルターについて、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。
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NDフィルターとは
NDとは、「Neutral Density(ニュートラル・デンシティー)」の略で、直訳すると「中立な濃度」という意味です。
このNDをつけることによって、発色に影響を与えることなく、光の量(光量)を減らすことができます。
レンズを傷つけるのを防ぐためにつける保護フィルターとは違って、「光量を減らす」という目的で使用するフィルターとなります。
イメージとしては、カンカン照りの夏場に、太陽の光が眩しくて何も見えないときに、サングラスをかける、というシーンがあるかと思いますが、NDフィルターは、そのサングラスのようなイメージを持っていただくと、わかりやすいかと思います。
そして、このNDフィルター、動画撮影時にどのような効果が期待できるかというと、NDフィルターをつけることによって、F値もシャッタースピードもISOも変えずに、露出を抑える(光を減光する)ことができます。
晴れた日に、屋外で人物撮影や花の撮影をするときに、被写体の背景をボカしたいときなどには、必須のアイテムとなります。
屋外で動画撮影するときのカメラ設定の手順について
それでは、屋外撮影で被写体の背景をぼかしたい時の、カメラ設定の手順について、確認していきたいと思います。
ここでは、前提としてオートは使わずにマニュアル露出を使います。
一眼レフ/ミラーレスカメラの動画撮影の際、絞り、シャッタースピード、ISO、これらをマニュアルで合わせるときのカメラ設定の手順としては、
- シャッタースピードをフレームレートの2倍の分母にする
- F値を開放側の絞りにする(レンズで一番小さいF値) 例: f1.8やf4など
- ISOの数値を調整して、適正露出にする
という流れになります。
屋外ではなく、室内で撮影する際、部屋がそこまで明るくない場合は、このやり方で問題ないのですが、屋外で日中太陽の光が入ってくる場合、この方法で設定をしていくと、ISOの数値を、露出が一番暗くなる100にしたとしても、まだまだ明るくて白とびしてしまうときがあります。
こういった場合は、白とびを防ぐために、F値を絞る、もしくはシャッタースピードを速くして、露出を抑える必要があるります。
ただし、露出をおさえるためにF値を絞ってしまうと、せっかく背景をボカシて撮りたかったとしても、ボカシて撮れなくなります。
また、露出をおさえるためにシャッタースピードを速くすると、記録される動画の動きが、パラパラ漫画みたいに、とぎれとぎれの映像になってしまいます。
できればF値もシャッタースピードも変えずに露出をおさえたい。
そういったときに、NDフィルターが必要になってきます。
固定NDフィルターと可変式NDフィルター
NDフィルターには、固定NDフィルターと可変式NDフィルターがあります。
固定NDフィルターは、いくつか種類があって、数字がND4,ND8、ND32、ND1000など様々で、この数字の違いによって、どれくらいの光の量を減光するか、というのが決まります。
例えばND4であれば、光量を1/4に減光、ND8であれば、光量を1/8に減光することができます。
そのため、固定NDフィルターを使う場合、よく晴れている日は、ND16やND32,曇っている日はND4を使うなど、天候や状況によって、その都度、NDフィルターを交換する必要があります。
例えば、太陽光がたくさん入っているシーンでの撮影場所から、建物の日陰のある場所に移動すると、そのまま同じNDフィルター使ってしまうと、移動後は暗くなりすぎるため、ISOをあげないといけません。
ただし、ISOがあがりすぎると、ノイズがでやすくなるので、できれば、ISOは低めで撮りたいところです。そのため、日陰に移動したらISOをあげるのではなく、減光効果の弱いNDに交換したりする必要があります。
しかし、そのようなことをしていれば、撮影前に毎回交換する手間がかかってしまい、ベストな撮影のタイミングを逃してしまう可能性があります。
それを避けるために、シチュエーションが変わってもNDフィルターを交換する手間をなくしたものが、可変式NDフィルターです。
動画撮影では、瞬時に露出をコントロールするために、フィルターの縁を回すことによって、光の入る量を調整できる可変式NDフィルターがよく使われます。
それでは次から、可変式NDフィルターについて詳しく解説していきたいと思います。
可変式NDフィルターとは
英語では、Variable ND filter (バリアブルNDフィルター)と呼ばれています。
可変式NDフィルターは、固定NDフィルターのように、シチュエーションによって交換する必要はなく、フィルター1枚で減光量を変えることができます。
動画撮影の場合、適切なシャッター速度は、フレームレート (fps) の2倍までが基本となっているので、明るいからといって、写真撮影時のようにシャッタースピードを速くして露出を抑えることはできません。
また、動画撮影時にシャッター速度を速くしてしまうと、パラパラ漫画のような少し不自然な動画になってしまいます。
そのため、シャッタースピードを変えずに減光するために、可変式NDフィルターが使われます。
可変式NDフィルターの選び方
可変式NDフィルターは様々なメーカーから販売されています。
安いものだと数千円、高いものだと3,4万円くらいしますが、個人的には最初からある程度良いものを買うのをオススメします。
カメラ40万円、レンズ20万円、NDフィルターはなぜか3000円のものを使っているクリエイターをたまに見かけるのですが、カメラとレンズにお金かけるのは、良い映像を残したい、という目的にも関わらず、良い映像をとりこむ最初の部分のフィルター代をケチってしまうのは、もったいないかと思います。
もちろん、趣味で撮影しているのであれば、数千円のものでもいいと思うのですが、仕事で撮影をしていたり、趣味でも本格的にキレイな映像を撮りたい、という人は、1-2万円代以上のものをオススメします。
安い可変式NDフィルターだと、フィルターを回した際、色が少し変わってしまったり、色ムラがでてしまったりと、映像に悪影響を与えてしまいます。
色温度が変わる場合は、編集である程度、補正は可能ですが、色ムラがでてしまうと、補正はかなり難しくなります。
ちなみに、カメラを買ってすぐの頃に、K&Fコンセプトというメーカーの数千円の可変式NDフィルターを買ったことがありますが、色ムラがでてしまい、すぐに使うのをやめました。
現在ボクがよく使っているのは、MARUMI(マルミ)というメーカーの可変式NDフィルターですが、個人的にはとても気に入っています。ND2-400と幅広い範囲で減光してくれるので、屋外での撮影シーンが変わる現場では重宝しています。
MARUMI(マルミ)以外にも、クオリティの高い可変式NDフィルターはいろいろありますので、ぜひチェックしてみて下さい。
可変式NDフィルターで、これ良かったよ、と聞くメーカーは以下のメーカーでしょうか。
- KENKO(Kenko NDフィルター バリアブルNDX)
- MARUMI ND2.5-500
- Polar Pro ND2-5 stop / 6-9 stop
- TIFFEN 2-8段相当
- NISI 1.5-5 stops(ND3-32)
- Kani 2-64 / Kani 2-400
ちなみに先ほど色ムラがでて使い物にならなかったとお伝えした、K&F Conceptの可変式NDフィルターなのですが、ボクが買った4年前に比べてかなり良くなっているみたいで、最近は特に問題ないよ、とも聞きます。
「仕事で撮影しているわけではないし、NDフィルターにそんなお金かけたくないよー」という方は、検討のひとつに入れてもいいかもしれません。
ただし、たしかK&F CONCEPTは、NDフィルターをつけると、レンズフードがつけられなくなるので、フードを使う人は不便を感じるかもしれません。
可変式NDフィルターは、いろいろ選択肢があるので、ご予算と好みに合わせて購入されるといいと思います。
KENKOの良いものだと4万円くらいしますが、ボクの周りのクリエイターは、MARUMIをけっこう使っていて、コスパは良いと思います。
Kenkoは、前述の可変式NDフィルターとは別で、低価格帯の「Kenko 可変NDフィルター 77mm PL FADER ND3-ND400 無段階調整 レバー付き」という可変式NDフィルターをだしています。
KENKOなのに安い!と思って、購入したのですが、MARUMIと比べると、色ムラがでやすく、質も良くなく使わなくなりました。
可変式NDフィルターの品質は、ある程度、価格の高さに比例する、と思っていいかと思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか
今回の内容を参考に、ぜひあなたにとってベストな可変式NDフィルターを見つけてみてください。
きっと屋外撮影の際、「あー、可変式NDフィルター持っててよかったぁ」と思ってもらえるかと思います。
さいごに、だいぶ以前に撮影した動画ですが、可変式NDフィルターについて話しているので、よかったら参考にご覧になってみてください。
それではまた!
(2021.10月追記)
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