どうも、動画人ターナーです。
本記事は、前回の記事
【一眼レフ/ミラーレスカメラのマニュアル動画撮影の設定方法とは【第1回】】
の続編です。
まだご覧になっていない方は、ぜひ第1回より読み進めていただければと思います。
それでは、前回に続き、マニュアルモード(Mモード、マニュアル露出)での動画撮影について解説していきたいと思います。
マニュアルモードを理解する上で欠かせないのが、3大要素である、絞り(F値)、シャッタースピード、ISO感度です。
カメラは光を捉える道具である
という言葉を、誰が最初に言ったのかは定かではありませんが、カメラ業界ではよく聞くフレーズです。
デジタル一眼カメラで動画撮影する際、カメラがその映像を作っているわけではありません。カメラはあくまでもただの箱のような存在で、大切なのは、その箱にいかに光をとりこむか、ということです。
試しに真っ暗闇の部屋でカメラをまわしてみてください。おそらく何も映らないのではないでしょうか?カメラは光がなければ、ただの箱で存在意義を見いだせません。
逆に言うと、光をベストな状態で取り込むことができれば、カメラの潜在能力を目一杯発揮することができるのです。
光をベストな露出(明るさ)で取り込んでいる状態、これが、適正露出というものです。
そしてこの適正露出にするために、理解しておきたいのが、
- 絞り(F値)
- シャッタースピード
- ISO感度
です。
この3つの要素に関係する数値を、適切な値に設定することによって、映像を適切な露出(明るさ)で撮影することができるようになります。
今回の記事では、この3つの要素のひとつ、絞り(F値)について詳しく学んでいきましょう。
コンテンツ
絞り(F値)とは
絞りとは、通過する光の量を調整するために用いる遮蔽物(しゃへいぶつ:おおいさえぎる役目をするもの)のことである。開口部を指す aperture が訳語になることもある。
絞りは光学系において光の量を調整するために、光を遮り、一部だけを通す板状のもの、または、そこにあけた孔のことである。
wikipedia
光を吸収させるため通常は黒色をしており、孔の大きさを微調整できるようにするために複数の板を重ね合わせたものもある。孔は円形または多角形であることが多い。また、レンズの大きさに対し絞りの大きさを示すものとしてF値がある。
Wikipediaでは、このように定義されています。
要は、絞りというのは、光の量を調整するために、光をさえぎる板状のもの。そしてその絞りの大きさを、F値という指標で表しています。
ここからは、カメラをお持ちの方は、ぜひ実際にカメラを操作して確認しながら読み進めていただければと思います。
それではまず、カメラの電源をONにしてから、レンズの中をのぞいてみて下さい。
中心が穴のようになっているかと思います。
F値は絞りの大きさを表す単位ですが、F1.8やF2.8などの開放側の絞り値の場合は、この穴が大きくなります。逆にF12やF16などのときは、この穴は小さくなります。
試しにカメラを自分の方に向けた状態で、絞り(F値)の数値を変えてみてください。
レンズの穴の大きさが変わるのをわかっていただけるかと思います。
- F値を小さくする→レンズの穴は大きくなる → 絞りは「開放側」と表現する
- F値を大きくする→レンズの穴は小さくなる → 絞りは「絞っている状態」と表現する
それでは、この絞り(F値)の役割について詳しく解説していきたいと思います。
絞り(F値)の役割
絞り(F値)の役割としては、
- 光量を調整する
- 被写界深度(ぼけ具合)を調整する
この2つがあげられます。
ちなみに被写界深度とは、「焦点が合っているように見える被写体側の距離の範囲のこと。」を指します。要はピントが合っている範囲のこと。
被写界深度=ぼけ具合 のようにイメージしてもらえると、わかりやすいかと思います。
それでは、絞り(F値)のひとつめの役割、光量を調整する、という部分について。
1.光量を調整する
絞り(F値)の役割のひとつとして、レンズから入る光の量を調整するというのがあげられます。
レンズの穴が大きい状態(F1.4やF1.8など)だと、より多くの光を取り込むことができるので、明るく撮影することができます。
逆にレンズの穴が小さい(F12やF16など)と、取り込む光の量は少なくなります。
この役割を知っておくと、
- 暗い室内や夜の撮影では、F値を開放側のF1.8やF2.8にして明るく撮影する
- 日中カンカン照りの日に屋外で撮影する場合、明るすぎるため、F値を絞る(F12やF16など)ことによって、露出を抑えることができる
このようなことを手動で調整することができます。
ちなみに、F値の最低値は、レンズの種類によります。
F1.4やF1.8など明るく撮影できるレンズは、焦点距離が変更できない単焦点レンズに多いのですが、ズームレンズのようにその場でズームできない代わりに室内や夜の撮影に強いです。
一方、キットレンズでお得についてくる標準ズームレンズは、その場でズームができて便利なのですが、F値の最低値は、一般的にはF4やF5.6など少し高めとなっています。ですので、夜の撮影に弱かったり、ズームすることによって、F値が変わってしまい、不便だったりします。
F値の最低値に関しては、レンズの縁に数値が記載されていますので、ぜひ確認してみてください。
それでは実際にMモード(マニュアル露出)の状態で、F値を変更してみましょう。
まずF値を一番開放側(f1.8やf2.8など)にしてみて下さい。レンズによっては、F4が最低値になる場合もあります。
その状態から、レンズの穴を見ながらF値の数値を大きくしてみて下さい。
F値の値が大きくなるにつれて、レンズの穴がどんどん小さくなるのがわかるかと思います。
このように、F値が低いほど、レンズの穴は大きくなり、F値が高いほどレンズの穴は小さくなります。
- F値が低い = レンズの穴は大きい → より多くの光を取り込める状態
- F値が高い = レンズの穴は小さい → 光を取り込む量は少ない
という感じで覚えてみてください。
2.被写界深度(ぼけ具合)を調整する
それでは、F値のもうひとつの役割である、被写界深度について解説していきます。
被写界深度というのは、ピントの合った範囲のことを指します。
F値が小さいと、レンズの穴は大きくなり、被写界深度は浅い状態になります。
被写界深度が浅いというのは、ピントが合っている範囲が狭いということなので、よりぼけた映像になります。
一方、F値が大きいと、レンズの穴は小さくなります。
F値が大きい = 被写界深度は深い、という表現になりますが、この場合はピントが合っている範囲が深いので、手前の被写体も奥の被写体も、ともにピントが合った状態になります。
この原理を理解しておくと、
・ぼかしたい場合は、F値を小さくして被写界深度を浅くする。
・手前も奥も両方にピントを合わせたい場合は、F値を高くして、被写界深度を深くする。
ということを意識して撮影することができるようになります。
一般的にポートレートムービーなど人物を際立たせたいというときは、F値を小さくして背景をボカシて撮影します。
一方、風景の映像を撮る場合、手前の花も奥に見える山もピントを合わせたいという場合は、F値を大きくして全体にピントが合うようにします。
F値の数値を変えることによって、自分の望む表現ができるようになりますので、ぜひ数値を変更していろいろ撮影してみてください。
ちなみにこちらの映像は、宮古島でガイドの方を撮影した映像ですが、海とドローンのシーン以外は、すべて f1.8 で撮影しました。
F1.8といった開放側のレンズで撮影すると、背景をぼかして被写体である人物に視聴者の目を集中させることができるので、人物撮影などには、F1.8のレンズはおすすめです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
F値の数値を変えることによって、適切な露出で、自分の望む表現をすることができるようになります。
プログラムオートではなく、ぜひマニュアルモードで、F値を変更して撮影してみて下さい。
次回はシャッタースピードについて解説していきたいと思います。
それではまた!
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